玄象のシテ
今月28日朋之会に玄象のシテを勤めます。
今年最後のシテになります。(172番めのシテです)
村上天皇がシテの曲です。
前段は琵琶の名手の藤原師長もろなが(ツレ)が渡唐のため、従者(ワキ、ワキツレ)を従え、須磨に立ち寄り、老人夫婦(前シテ、ツレ)に宿を借ります。
塩屋に案内した老夫婦は師長の琵琶を所望します。
演奏の最中、村雨が降ってきます。老人は琵琶の音をよく聞くため、屋根に苫をしいて、村雨の音を和らげます。そのことを師長はいたく感動し、逆に演奏を頼みます。
老人は琵琶、老婆は琴をひきますが、
師長はあまりの見事さに自分の未熟さを恥じ、立ち去ろうとします。
老夫婦は引き止め、自分たちは村上天皇と梨壺女御だとあかして消えます。
やがて村上天皇(後シテ)があらわれ、龍宮にとられてしまった琵琶の名器の獅子丸(中国から日本に玄象、青山、獅子丸の三面が渡ったといわれてます)を龍神に命じて取り寄せ、師長に渡し、ひかせます。
天皇は興に乗じて舞を舞います。
やがて天皇は八大龍王を引き連れ天上に帰り、師長は都へと帰っていきます。
琵琶をテーマにした明るく、快い曲です。
前段は老人が汐を汲む場面、琵琶を弾く場面、動きが少ないですが、シテだけでなく、師長、姥、ワキ、地謡も含めて、それぞれが謡の重要性を感じる場面がたくさんあります。
後段は村上天皇の優美な舞が見どころです。
音楽的、舞踊的にバランスの取れた名曲だと思います。インターネットでもたくさん取り上げられています。
ちなみに青山は平経正が愛した琵琶です。
勤めるのを楽しみにしております。