夜討曽我
先日14日の国立の定例公演で夜討曽我の地謡を勤めました。
シテ五郎時致は岡久広氏、ツレの十郎祐成は武田宗和氏、団三郎は我が師武田志房氏、鬼王は関根知孝氏と観世流のベテランが出演されました。(前段)小袖曽我と違い弟の五郎がシテです。
ひとつの舞台でこのような顔ぶれが登場するのを初めて見ました。特に師匠がツレを勤められたのは珍しいことだと思います。
この曲は小袖曽我の後編の話で(ストーリーは検索してください)、蘇我物の中でもドラマッチックな曲です。(そのほかには禅師曽我、調伏曽我があります)ワキは登場しません。
前段は曽我兄弟が工藤祐経の仇討ちを明日に控え、形見を母親に届けるよう家来の団三郎鬼王兄弟に命じます。
ところが団三郎たちは主君のために命をささげる覚悟なのに、故郷へ帰ることはできないと拒否します。
しかし曽我兄弟の説得で屈服し、一度は自害をしようとしますが、形見を持って泣く泣く故郷へ帰っていきます。
後段は工藤の仇討ちを終え、五郎が頼朝の家臣に捉えられるまでが演じられます。斬り組みがあり、なかなか見ものです。(4人のツレが登場します)
兄の十郎は討たれたあとで、登場しません。(十番斬りという小書がありますが、その時は十郎も登場し、郎等との斬り組みがありダイナミックです。そしてワキの仁田四郎忠常に討たれるまでが演じられます)
敵の工藤祐経が出てこないところがお能らしいかもしれません。その前後の描写にスポットを当てることで想像力が倍増しますからね。
私も以前団三郎を勤めたことがありますが、難しい役で本当に悩みました。この役は難しいです。
明日は研究会の申し合わせで玄象の姥を勤めます。昨日の安宅の同山に引き続き、今年最後の役ですし研究会(今年で閉会します)最後の役でもあり緊張感があります。
お天気が心配です。