船橋

今日は土曜に開催される華よう会の申し合わせで、船橋という曲の地謡を謳いました。シテは大松氏、地頭は浅見重好氏、副地が私でした。

あまり演じられない曲で久しぶりの地謡でしたので緊張しましたが無事済みました。私は申し合わせの方が当日より緊張します。

シテは平成16年4月武田同門会で一度勤めています。

熊野の山伏が平泉へゆく途中、上野の佐野で橋の建立の勧進をしている夫婦に会います。男は 上毛野(かみつけの)佐野の舟橋取り放し親は離(さ)くれど吾(わ)は離(さか)るがえ  万葉集の歌にまつわる話をします。女のもとへ通っていた男が、反対する親により橋の板を外されたのに気がつかず、落ちて死んでしまうという話です。この話は自分たちのことだと言って消えます。(中入り)山伏が祈禱をすると二人の亡霊があらわれ、成仏できないと嘆き、昔を再現しますが(橋を落ちる型をしたり、激しい動きです)、やがて成仏し喜んで消えます。世阿弥の作でかなり古い曲のようです。この曲に似た曲に錦木(にしきぎ)がありますが、2曲とも夫婦が登場し、昔の通い婚にまつわる話になっています。

取り放しを鳥は無し とも詠まれるとワキが尋ねるシーンがあります。

橋は土地から土地を渡すものですが、この世からあの世へ渡すと考えることも出来ると思います。ですからこのシテは橋の勧進という想定で登場するのかなと思いました。

舞がなく、幽玄的な能ではありませんが、古い形の能を垣間見ることができる曲です。当日は16日㈯です。当日売りもあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA