続きのつづき
ワキの玄翁という僧が奥州から都へ上る途中に下野の国那須野ヶ原へ立ち寄ります。すると、ある石の上を飛ぶ鳥がばたばたと落ちるので、不審に思っていると、そこへ女が現れ、これは殺生石といって危険だから近寄らないようにといいます。玄翁がわけを聞きますと、昔鳥羽院に仕えた玉藻の前(きゅうびのきつねが化けて)が帝を惑わしたのですが、見破られ、逃げてここまで来ましたが、殺され、その執心が石になったのだといいます。自分がその石魂だと明し、石の中に隠れます。(今回は石の作り物を出しませんので、幕に入ります) 中入り
玄翁は能力(間狂言)から玉藻の前について話を聞き、殺生石に向かって引導を渡し、供養をしますと、石から声が聞こえ、石が二つに割れ、野干が現れます。。通常は作り物の石が二つにばっと割れるのですが、今回は幕を石に見立てていますので、幕が上がりばっと出て舞台まで走りこみます。
野干はどのように殺されたかを語り、仕方話で表現します。なかなか面白いです。
自分はインド、中国、日本と三国をまたにかけて悪事をした狐だが、安倍泰成の祈祷で苦しくなり、空を飛んで那須野に隠れたが、三浦の介上総の介を含む数万騎に取り囲まれ、射殺されてしまう。(幕際で仏倒れといって後ろ向きにばたんと倒れます。)必見です!
その後執心が殺生石となって、多くの人を殺してきたが、ありがたい供養を受けたので、もう悪事をしないと約束して消え失せます。
土蜘蛛や紅葉狩などでも仏倒れをしますが、すべて最後に倒れます。しかしこの曲は途中で倒れますので、倒れた後すぐ立って行かなければなりませんので大変です。通常は赤頭ですが、今回は白頭です。前後の面や装束は思案中です。お楽しみに。
今回はワークショップで面をかけていただきます。視界がこんなものかと体験していただければと思います。
9月5日㈬の5時半開演です。日がまだ長く、少し涼しくなる頃ですので、勧能には最高だと思います。ご来場を心よりお待ちいたしております。