紅葉狩

25日に長野能で紅葉狩のツレを勤めますが、シテは平成5年に勤めております。歌舞伎にもありますね。

紅葉狩は観世信光作です。この方はワキ方のようで、ワキが重要な役になる曲が多いです。来年檀の会で勤めます張良(ちょうりょう)や正尊、安宅(一説)などがあります。長野の戸隠山の話になっています。

まず舞台中央後ろ(大小前といいます)に紅葉の枝を挿んだ山の作り物が出ます。そのあと次第という囃子でシテとツレ、狂言の侍女が出て、連吟をします。その後謡いながらシテはワキ柱(舞台地謡側の前の柱)に床几に腰かけ、ツレは地謡側に並んで下に座ります。酒宴の態です。

そのあと一声という囃子でワキ平維茂(たいらのこれもち)が従者のワキツレを従え登場します。紅葉のきれいな山に鹿狩りに来たのでした。一行は美しい貴人の女性たちをみて、遠慮して馬から下りて別の道を行こうとします。しかし妖艶のシテ(戸隠山の鬼神が化けています)は維茂を誘惑し、酒宴に誘います。通常はシテがお酌をし、舞を舞いますが、今回は鬼揃(おにぞろい)という特殊演出なので、シテは床几に腰かけ、ツレがお酌、クセ、中之舞(前半)を分かれていたします。維茂は度々のお酌で酔いしれて寝てしまいます。(睡眠薬入りでしょうか)中之舞の途中でようやくシテが立ち上がり、維茂が寝たのを確認しますと、囃子の位が急に早くなり、形相が変わった態を見せます。本性が現れました。(急之舞といいますが、これは道成寺の急之舞と同じです。)舞後は激しい地謡で風雨の激しさを表現し、もう一度寝ていることを確かめて舞台の作り物に入ります。ツレは幕に引きます。

中入りでは狂言の末社の神があらわれ、維茂の夢の中に出て、真相を語り、剣を枕元に置いて、眠りを覚ませと足拍子を踏んで退場します。

維茂は覚めます。そして剣を持って待ち構えていると、作り物から鬼神の姿となったシテが出てきます。通常は出ませんが、今回はツレも鬼女となって登場します。なかなかダイナミックです。舞働きなどで威嚇しますが、維茂は臆することなく、一網打尽に倒します。ツレは剣に恐れて逃げてしまい、残されたシテは作り物に手をかけ逃げようとしますが、維茂に引きずりおろされてとどめをさされ、めでたく終わります。

今回私は5番目です。中之舞を舞います。

まだ桜が咲いていませんが、紅葉いっぱいの曲です。

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