昨日は師匠の先代武田太加志先生27回忌追善の同門会別会でした。乱、千手、道成寺の3曲のほか、仕舞、舞囃子があり、御宗家も出演され盛会に終わりました。

私は小早川修氏と初番の乱の双之舞、置壺という小書を勤めました。乱とは能の猩々の特殊演出で、石橋、乱、道成寺と呼ばれる我々にはとても大事な曲です。私は平成3年に披かせていただきました。通常は一人ですが、今回は二人の猩々が出ました。双之舞とはそういう意味です。あと通常は出ませんが、壺が出ました。お酒が湧き出る魔法の壺です。二人の猩々は酒を飲みながら、水面で舞い続けます。おめでたい曲ですが、今回のような追善会の時にもでます。このような機会に大曲を許されたりするからです。乱になりますと、いつもの運びとは異なる足遣いがあります。乱れ足といって、水を蹴るような動きや、爪先立ちしてアメンボのように水面を動いたりします。拍子も音をたてないようにします。稽古をしないとなかなか動けませんので、自分なりにはかなり稽古しました。1月の二人静はすべてを合わせないといけませんでしたのでかなり神経を使いましたが、今回は別々の猩々ですから、その面では気にしませんでしたので、気持ちは楽でした。ご覧になった方にはどう映ったでしょうか。

あとの2曲先輩の小川兄弟の千手、後輩の佐川勝貴が大曲道成寺を披かせていただきました。大過なくすみましたので、よかったです。先輩としてほっとしました。

翌日の今日は昨日の道成寺の鐘の布などを外す作業を手伝い、そのあとは太加志先生のご法事が菩提寺の駒込の吉祥寺でおこなわれましたので伺いました。暑かったですが、お天気がよく恙なく終わりました。

今月は30日に錦木のツレがあります。ツレですがかなり大役で、以前一度勤めています。珍しいことに11月にもこの役をいただいております。8月3日は松能会で班女とまだまだ気がぬけません。体調に気を付けたいと思います。

” に対して3件のコメントがあります。

  1. マンハイム より:

    今日のようなお能の解説、楽しいですね。これからもいろいろ解説してください。

    1. 千俊 より:

      なるべくたくさんできるようにがんばります。宜しくお願いします。

  2. マンハイム より:

    こんな風に乱がどういうお能か解説していただく日記は楽しく読めますね。足運びの事など興味深い物でした。
    これからもいろいろ解説して下さると嬉しゅうございます。

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